不妊治療の保険適用、回数制限と流産後のリセットに当事者の声!85%が「回数リセットを望む」

国民健康保険

不妊治療の保険適用、当事者の声に耳を傾けてみませんか?

2022年4月から、不妊治療にも保険が適用されるようになり、多くの方が経済的な負担の軽減を期待しました。しかし、実際に治療を受ける中で、現状の保険制度にはまだ課題があると感じている方も少なくありません。

NPO法人Fine(ファイン)が実施した緊急アンケート「不妊治療の保険適用の条件緩和に関する緊急アンケート2025」では、不妊・不育症で悩む373人の当事者から、保険適用の現状に対する切実な声が寄せられました。今回は、その調査結果をもとに、不妊治療の保険適用における現状と、当事者の皆さんが本当に求めていることについて、詳しくご紹介します。

不妊治療の保険適用に関するアンケート調査のイラスト

99%が保険制度の対象、それでも「自己負担」は避けられない現実

アンケートに回答した方の99%(369人)は、保険制度の対象となりうる方々でした。しかし、実際に受けている(きた)治療における自己負担の割合を見てみると、興味深い結果が見えてきます。

    • 「3割負担(保険診療)」のみ:23%

    • 「3割負担+10割負担(保険診療+先進医療)」:66%

    • 「10割負担(自由診療)」のみ:11%

この結果から、多くの方が通常の保険診療(健康保険が適用され、自己負担が3割となる治療)だけでなく、先進医療(国が認めた、まだ保険適用ではない高度な医療技術で、その部分だけが全額自己負担となる治療)や自由診療(保険が適用されない全額自己負担の治療)を併用していることがわかります。つまり、現行の保険制度だけでは、不妊や不育症の治療を十分にまかなうことが難しい構造がある、と当事者の皆さんは感じているようです。

年齢制限には賛成、しかし「回数制限は反対」の声が63%!

現在の保険適用には、いくつかの条件があります。「体外受精」や「顕微授精」(いずれも卵子と精子を体外で受精させ、子宮に戻す高度な不妊治療)に保険が適用されるのは、女性の年齢が治療開始時点で43歳未満の場合です。また、「胚移植」(受精卵を子宮に戻す治療)には回数制限があり、女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子につき3回までと定められています。

この現状について、当事者の皆さんはどう考えているのでしょうか?

不妊治療の保険適用における年齢・回数制限に関するアンケート結果

アンケートの結果、63%もの方が「年齢制限には賛成だが、回数制限には反対」と回答しました。これは、2022年の調査(1)で「年齢制限・回数制限ともに反対」が42%だったことと比較すると、近年、特に回数制限に対する改善を求める声が強まっていることを示しています。

不妊治療の保険適用における年齢・回数制限に関する意見の年次比較グラフ

流産後の回数リセットを85%が熱望!

さらに、当事者の皆さんにとって大きな負担となっているのが、流産後の回数制限です。

現在、保険診療を使って胚移植した後に残念ながら流産してしまっても、上記の回数制限はそのままカウントされ続けてしまいます。この状況に対して、アンケート回答者の85%が「リセットされるとよいと思う」と回答しました。「今のままでいいと思う」と答えた方はわずか7%でした。

胚移植後の流産における保険診療の回数制限に関するアンケート結果

流産は心身ともに大きな負担がかかる出来事です。それにもかかわらず、次回の治療に向けて回数が減ったままというのは、当事者にとってさらなる精神的な重圧となっていることがうかがえます。

当事者の切実な声

アンケートには、回数制限によって困難に直面している当事者の具体的な声も多数寄せられました。

    • 「20代で不妊治療を開始しましたが、トライアンドエラーで回数を重ねるしかない部分があり、6回の保険分を使い切りました。これから出産まで辿り着くには自費診療です。」(25~29歳女性)

    • 「体外受精は高齢妊活の人が必要としているイメージを勝手に持っていました。実際は20代でやる人も多く、私は回数制限を超えての自費は金銭的に厳しいため、20代で子どもを諦める未来が近づいてきているつらさをかかえています。」(25~29歳女性)

    • 「移植3回まで化学流産(妊娠反応はあったものの、超音波で胎嚢が確認される前に流れてしまうこと)で、その後不育症(妊娠しても流産を繰り返してしまう状態)・着床不全(受精卵が子宮内膜に着床しない状態)が見つかりました。流産もしました。まだ20代なのにあと1回しか保険が残っていません。」(25~29歳女性)

    • 「移植後心拍確認後の流産を2回経験しています。移植回数がリセットされないのはつらいです。今年の4月から心拍確認後流産には給付金が出ていますし、妊娠として認められてないのかと思うとモヤモヤします。」(30~34歳女性)

    • 「28歳で男性不妊のため、顕微授精しています。6回という回数が自分自身のプレッシャーになっていてそれがストレスです。もし6回でできなければ30歳で子どもを諦めることになります。」(25~29歳性別回答しない)

    • 「不育症です。妊娠しても流産を繰り返し、6回の移植で出産まで至れませんでした。30歳で保険は終了。高額な自費治療しか道がなくなるのはつらいです。」(30~34歳女性)

    • 「31歳で不妊治療を始め、(現在)34歳になり9回の移植をしましたが妊娠に至りません。6回の移植(回数)制限を超えたため、7回目以降は自費での治療になり非常に高額です。年齢的には妊娠できると言われているにも関わらず、金銭的理由で子どもを持つことを諦める可能性も出てきており精神的にもつらいです。」(30~34歳女性)

これらの声は、回数制限が若い世代にとっても大きな壁となり、経済的・精神的な負担を増大させている現状を浮き彫りにしています。

まとめ:不妊治療の保険適用、より当事者に寄り添う制度へ

今回のアンケート結果は、不妊治療の保険適用において、特に「回数制限の見直し」と「流産後の回数リセット」が当事者から強く求められていることを示しています。

NPO法人Fineは、今回の結果をもとに、回数制限や年齢制限のあり方について、当事者の視点から社会に問いかけていくとのことです。不妊治療は、多くの人にとって希望の光であると同時に、心身に大きな負担を伴うものです。より多くの命が育まれる社会を目指すためにも、当事者の声に耳を傾け、より柔軟で、寄り添った制度へと見直されていくことが期待されます。

(1) 参照:保険適用後の不妊治療に関するアンケート2022

NPO法人Fineのこれまでのアンケート調査結果はこちらでもご覧いただけます。

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