
認定NPO法人おてらおやつクラブが全国2,909世帯を対象に実施したアンケート調査から、現代社会における支援のあり方や、公的支援の「狭間」にいる世帯の困難が浮き彫りになりました。特に注目すべきは、初回支援世帯への「スピード重視」の方針転換が、心理的な成果指標の向上につながった点と、公的支援から外れやすい世帯の切実な声です。
「早く届く」支援がもたらす心の変化
おてらおやつクラブは、2025年度から初めて「おすそわけ」を受け取る世帯に対して、「できるだけ早く届ける」ことを重視する方針に転換しました。これには、配送単価が1箱あたり135円増えるというコスト増も伴いましたが、その結果、「困ったときに助けを求められる」「孤立感や孤独感が和らぐ」といった主要な成果指標すべてで、前回の調査を上回る改善が見られました。

この結果は、「早く届くこと」が単なる効率化だけでなく、支援を必要とする方々に「声を上げてよい」「誰かに受け止められている」「一人ではない」と感じさせる安心感を届け、孤立感を和らげる重要な要素となり得ることを示唆しています。
公的支援の「狭間」にいる世帯の現実
今回の調査で特に顕著だったのは、公的支援の対象から外れやすい世帯の困難が浮き彫りになったことです。自由回答からは、以下のような切実な声が寄せられました。
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賃上げなどにより、非課税世帯(所得税や住民税が課税されない世帯)から外れてしまったことへの戸惑い。
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身近に相談先や支援先がないことへの不安。
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長期化する物価高による生活の厳しさ。
例えば、北海道の40代シングルマザーからは、「今年度、初めて非課税から外れ、扶養手当(子どもを養育する家庭に支給される手当)も全部支給ではなくなってしまった。住民税も引かれ、子どもの医療費もかかる。この状況では食糧支援などには申し込みができない」という声が寄せられています。
生活に余裕がないにもかかわらず、わずかな収入増で公的支援の基準から外れてしまう世帯は少なくありません。このような「支援の狭間」にいる方々は、見えにくい困難を抱えがちです。
国民健康保険料の負担と支援制度
公的支援の対象から外れることは、国民健康保険料の負担にも影響を及ぼす可能性があります。まず、「国民健康保険」とは、会社などの健康保険に入っていない方(自営業者やフリーランス、年金生活者など)が加入する地域の健康保険制度のことです。病気やケガをしたときに、医療費の一部を負担してくれる大切な制度で、日本に住むすべての人に加入義務があります。
国民健康保険料は、前年の所得などに基づいて計算されます。そのため、もし賃上げなどで所得が増え、非課税世帯から外れてしまうと、これまで受けていた国民健康保険料の軽減措置が適用されなくなることがあります。国民健康保険には、世帯の所得に応じて保険料が軽減される「軽減制度」や、災害や失業などで一時的に生活が苦しくなった場合に保険料が減額・免除される「減免制度」があります。
公的支援の基準から外れてしまった場合でも、国民健康保険料の負担が重くのしかかることがあります。このような状況に直面した場合は、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口に相談することが非常に重要です。減免制度の適用条件は自治体によって異なるため、ご自身の状況を詳しく伝え、利用できる制度がないか確認しましょう。
孤立を防ぎ、多様な支援へ
おてらおやつクラブは、今回の調査結果を受け、今後の支援のあり方を以下の3つの軸で見直していく方針です。
- 「スピード」を価値として定義する:困ったときに頼れる安心感を届けるため、迅速な対応を支援の質として位置づけ、物流・運用体制を再設計します。
- デジタル・外部連携による支援基盤の拡張:企業との直接配送連携やデジタル活用を通じて、多様な主体が参加できる支援の仕組みを構築し、持続可能性を高めます。
- 「伴走」の再定義:初回の支援をきっかけに生まれたつながりを一過性にせず、行政・地域団体との協働を深め、継続的な見守りと伴走支援(寄り添いながら支援すること)を目指します。
公的支援の基準から外れても、生活に困難を抱えている世帯は少なくありません。国民健康保険料の負担に悩む方も含め、困ったときに気兼ねなく「助けて」と言える社会を目指すためには、行政の制度だけでなく、おてらおやつクラブのようなNPOや地域の様々な団体が連携し、多様な支援を提供していくことが不可欠です。
困りごとを抱えた際は、一人で抱え込まず、まずは地域の相談窓口や信頼できる支援団体に声を上げてみてください。国民健康保険に関する詳しい情報やおてらおやつクラブの活動については、以下のリンクからご覧いただけます。
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おてらおやつクラブ公式サイト: http://otera-oyatsu.club
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本調査結果の詳細: https://otera-oyatsu.club/2026/02/research_for_families9/
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おてらおやつクラブへのお問い合わせ: https://otera-oyatsu.club/contact/


