「年収の壁」とは?多くの人が直面する働き方の悩み
パートやアルバイトで働く方々にとって、収入を増やしたい気持ちと、扶養から外れてしまうことへの不安は常に隣り合わせです。この不安の背景にあるのが、いわゆる「年収の壁」。特定の収入ラインを超えると、社会保険料や税金の負担が増え、一時的に手取り(実際に手元に残るお金)が減ってしまう現象を指します。
しゅふJOB総研が仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を対象に行った調査では、この「年収の壁」が働き控えにどう影響しているか、また制度がどの程度理解されているかが明らかになりました。
「年収の壁」制度、実はよくわからない?約3人に1人が「理解していない」
年収の壁に関する制度について尋ねたところ、回答者の33.2%が「理解していない」と答えています。「完全に理解している」と答えた人はわずか5.3%に留まり、多くの方が制度内容を十分に把握できていない現状が浮き彫りになりました。

特に30代以下の若い世代では、45.4%と半数近くが「理解していない」と回答しており、年代が上がるにつれて理解度が深まる傾向が見られます。この結果は、制度を理解するための情報発信や仕組み作りが、特に若い世代に必要であることを示唆しています。

働き控えの主な原因は「社会保険」が約7割
では、「年収の壁」が働き控えにつながる主な原因は何でしょうか?調査結果では、「社会保険」が最も多く、全体の67.4%を占めています。
社会保険には、主に会社員や公務員が加入する「厚生年金と健康保険(被用者保険)」、そして自営業者やフリーランスなどが加入する「国民年金と国民健康保険」があります。これらの社会保険料の負担が、年収の壁を超えた際に手取りが減ってしまう大きな要因となっているのです。

制度を「理解している」人ほど、働き控えの原因として社会保険を挙げる割合が高いことも判明しています。これは、社会保険の仕組みを理解しているからこそ、その影響の大きさを認識していると言えるでしょう。

フリーコメントでも、「保険料が高すぎることが全ての原因。低くなれば、年収の壁を気にする人は減るのでは」「社会保険加入と所得税の壁は同一金額にするべきだと思う」といった声が寄せられており、社会保険料への負担感が働き控えに直結していることがうかがえます。
「106万円の壁」と「130万円の壁」とは?
年収の壁には、主に「106万円の壁」と「130万円の壁」があります。
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106万円の壁: 特定の条件を満たす短時間労働者が、会社を通じて厚生年金や健康保険に加入する義務が生じるラインです。この壁を超えると、保険料の自己負担が発生し、手取りが一時的に減ることがあります。
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130万円の壁: 夫や親などの扶養に入っている人が、その扶養から外れて自分で国民年金や国民健康保険に加入する義務が生じるラインです。この壁を超えると、自身で社会保険料を全額負担することになり、やはり手取りが大きく減少する可能性があります。
「税金の壁は、超えたとしても少し手取りが減る程度でたいした影響はないと感じています。むしろ、社会保険の壁を超えるのがかなりハードルが高かったです」という50代パートの方のコメントは、社会保険の壁がどれほど大きな影響を与えるかを示しています。
2026年4月からの「130万円の壁」変更で働き控えは減る?
2026年4月からは、社会保険の扶養枠上限である年収130万円の判定基準が変更される予定です。これまでは残業代を含めた実績や見込み額で判断されることが多かったのですが、今後は「労働契約内容」に基づいて判定されるようになります。
この変更によって働き控えが減ると思うか尋ねたところ、「思う」「少し思う」と答えた人が合わせて36.8%でした。制度変更への期待がある一方で、「あまり思わない」「全く思わない」という意見も少なくありません。

フリーコメントでは、「改正につぐ改正で、国民が理解できる仕組みやきっかけづくりをしないと、よくわからないから現状維持で…という人は一定数いそう」「もっと簡単にわかりやすくしてほしい」といった、制度の複雑さに対する切実な声が多数寄せられています。
しゅふJOB総研の研究顧問である川上敬太郎氏は、「年収の壁をどうするかを考える前に『制度理解の壁』が大きく立ちはだかっている状況を改善する必要がある」と指摘しています。
まとめ
「年収の壁」問題は、社会保険料の負担増と制度の複雑さが主な原因となり、多くの人々の働き控えにつながっていることが明らかになりました。特に国民健康保険や厚生年金などの社会保険は、手取りに直結するため、その影響は大きいと言えます。
制度の変更があっても、それが国民にきちんと理解されなければ、根本的な解決にはつながりません。今後も、より分かりやすい情報提供や、誰もが安心して働ける社会制度の構築が求められます。
調査概要
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調査手法: インターネットリサーチ(無記名式)
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有効回答者数: 552名
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調査実施日: 2026年1月17日(土)~2026年1月31日(土)
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調査対象者: ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者
参考情報
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しゅふJOB総研の過去の調査結果はこちら
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しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託しています。詳細はこちらをご覧ください: http://bit.ly/2n8jHIJ

