「こどもの貧困」の現実:入学・卒業費用で借金を抱える子育て世帯の約4割

シングルマザー

子どもの成長は喜ばしいものですが、入学や卒業、新生活が始まる時期は、家庭にとって大きな経済的負担を伴うことがあります。特に経済的に厳しい状況にある子育て世帯では、この負担が「借金」という形で重くのしかかる現実があることが、ある調査によって明らかになりました。

困窮子育て世帯の約4割が借金で新生活費用を捻出

公益財団法人あすのばが、住民税非課税世帯(所得が一定以下で住民税がかからない世帯)や生活保護世帯で子育てをしている家庭を対象に行ったアンケート調査で、驚くべき実態が浮き彫りになりました。子どもの入学や卒業、新生活を迎えるための費用を、約4割の世帯が借金(親族・知人からの借金、社会福祉協議会などの貸付制度、銀行やカードローンなどからの借金を含む)でまかなっているというのです。

公益財団法人あすのばによる2025年新生活応援給付金アンケート調査結果サマリー

この調査は、「こどもの貧困」という社会課題への関心を高め、困窮世帯に必要な支援制度や政策を検討するためのものです。2025年に新生活を迎えた方々(2024年度あすのば入学・新生活応援給付金の受給者813人)と、2024年に新生活を迎えた方々(2023年度あすのば入学・新生活応援給付金の申込者2,755人)を対象に実施されました。

奨学給付金の支給時期と就学援助の課題

調査からは、現在の支援制度における課題も明らかになっています。

2025年に新生活を迎えられた方への調査結果

高校進学を控える中学卒業生を持つ困窮世帯では、71.3%が「高校生等奨学給付金(高校生が学業を続けるための給付金)」の支給時期が「遅い」と感じています。そして、87.6%が「入学前支給」があれば利用したいと回答しており、入学前のまとまった費用が必要な時期に、給付が間に合わない現状がうかがえます。

奨学給付金の支給時期に関するアンケート結果

また、高等学校の授業料が無償化された後も、52.1%の世帯が授業料や入学金の「立て替え払い」を経験しています。これは、一時的に費用を負担する必要があることを示しており、経済的負担が大きい世帯にとっては大きな課題です。

さらに、就学援助制度(経済的に困っている家庭の子どもが学校に通うための費用を補助する制度)を利用している世帯の約70%が、入学前支給だけでは新生活にかかる費用を「まかない切れていない」と回答しています。困窮世帯の約40.2%が卒業・進学のために借金を抱えている実態は、給付金や援助だけでは足りていない現状を示しています。

困窮世帯の費用捻出方法と就学援助の満足度

2024年に新生活を迎えられた方への調査結果

2024年に新生活を迎えた世帯への調査でも、同様の傾向が見られました。困窮世帯の約37.8%が卒業・進学のために借金を予定しており、就学援助制度利用者の約50%が学校にかかる費用を「まかない切れていない」と感じています。

2024年新生活を迎えた困窮世帯の費用捻出方法

特に注目すべきは、申込者の約半数が「本事業以外の給付金の情報がわからない」と回答している点です。特に子どもが小さい世帯ほど情報が届いていない傾向があり、必要な情報が困窮世帯に十分に届いていない「情報格差」の課題も浮き彫りになりました。

給付金情報に関するアンケート結果

まとめと今後の課題

これらの調査結果は、経済的に困難な状況にある子育て世帯が、子どもの成長を支えるためにいかに苦労しているかを示しています。入学や卒業といった節目は、子どもたちにとって希望に満ちたものであるべきですが、その裏で保護者の方々が大きな経済的負担を抱え、時には借金をせざるを得ない状況にあるのは見過ごせない問題です。

奨学給付金の「入学前支給」の必要性や、就学援助制度のさらなる充実、そして困窮世帯に必要な支援情報が確実に届くような仕組みづくりが、今後の社会にとって重要な課題と言えるでしょう。

調査レポート(フルバージョン)

調査レポートの詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。

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