「早く届く」支援が満足度を向上させる理由とは?公的支援からこぼれ落ちる家庭の現状と国民健康保険の課題

国民健康保険

困窮世帯への「スピード重視」支援がもたらす心理的効果と満足度向上

認定NPO法人おてらおやつクラブが実施した全国2,909世帯を対象としたアンケート調査により、「早く届く」支援が支援世帯の満足度向上に大きく貢献することが明らかになりました。特に初回支援世帯に対し、配送単価が135円増えてもスピードを重視した結果、「助けを求められる」「孤立感が和らぐ」といった主要な成果指標が前回の調査を上回る結果となっています。

調査の結果まとめ

なぜ「早く届く」ことが成果につながるのか?

2024年度の運用では、配送費を抑えるために同一配送エリア内での発送を徹底しました。しかし、これにより申し込みから発送までに1ヶ月以上かかるケースも発生し、支援が必要な声にタイムリーに応えられない状況が生じていました。この遅延は、「声を上げてよい」「誰かに受け止められている」「一人ではない」と感じられる安心感を十分に届けられていなかった可能性が示唆されています。

今回の調査結果は、「早く届くこと」そのものが、困りごとを抱える世帯の孤立感を和らげ、支援の質や心理的効果に良い影響を与えることを示しています。

おすそわけ受取後の心理変化

この反省を踏まえ、2025年度からは、初めて「おすそわけ」を受け取る家庭に対しては「スピード優先」の方針へと転換しました。具体的には、遠方のお寺からも配送できるよう配送システムのエリア制限を緩和し、配送距離が伸びたことで1箱あたりの配送単価は135円上昇しましたが、支援の質を優先した判断です。

2024年度 寄贈 支援 配送拠点

2025年度(関西エリアの例) 寄贈 支援 配送拠点

公的支援の「網」からこぼれ落ちる家庭の現実

調査の自由回答からは、賃上げ(給料が上がること)などにより公的支援の対象から外れてしまったことへの戸惑いや、身近に相談先がないことへの不安、長期化する物価高による生活の厳しさが多く語られました。

特に、生活に余裕があるとは言えない状況にもかかわらず、公的な支援制度(国や自治体が行う支援)の対象から外れてしまう世帯の存在が浮き彫りになっています。

ある40代のシングルマザー(お子さん2人)からは、以下のような声が寄せられました。

シングルマザーですが、今年度、初めて非課税(所得税や住民税がかからない状態)から外れ、扶養手当(家族を養っている場合に支給される手当)も全部支給ではなくなってしまいました。住民税も引かれて子どもの医療費もかかる。この状況では食糧支援などには申し込みが出来ません。
シングルマザーだけど「全部支給ではない=裕福」というわけではないと思うし、我が家は絶望していたので、おてらおやつクラブさんには感謝してもしきれません。シングルだけど非課税ではない中途半端な世帯にも、支援が行き届きますように。

この声は、所得がわずかに増えたことで、かえって経済的な負担が増大し、公的支援の対象からも外れてしまうという、制度の狭間にある家庭の困難な状況を物語っています。国民健康保険料の算定も所得に応じて行われるため、所得が増えれば保険料も上がる可能性があります。公的支援の対象から外れることで、医療費の助成や各種手当が減額・停止されることもあり、結果として生活がより厳しくなるケースも少なくありません。

支援の対象から外れても困りごとを抱えている場合

もし、公的支援の対象から外れてしまっても、生活に困りごとを抱えている場合は、諦めずに地域の相談窓口や民間の支援団体に相談することが重要です。例えば、お住まいの市区町村の社会福祉協議会や、子育て支援センター、フードバンクといった団体が相談に乗ってくれる可能性があります。

また、おてらおやつクラブのようなNPO法人も、制度の狭間で困っている家庭に対して、柔軟な支援を提供しています。困ったときは一人で抱え込まず、「たすけて」と声を上げられる場所があることを忘れないでください。

今後に向けて──3つの方向性

今回の調査結果を受け、おてらおやつクラブは今後の支援のあり方を以下の3つの軸で見直していくとしています。

  1. 「スピード」を価値として定義する
    「早く届くこと」は単なる効率化ではなく、困ったときに頼れる先があるという安心感を届ける行為として捉え直し、迅速な対応を支援の質として位置づけ、物流・運用体制の再設計を進めます。
  2. デジタル・外部連携による支援基盤の拡張
    企業との直接配送連携やデジタル活用を通じて、「お寺からのおすそわけ」にとどまらない支援の仕組みを構築し、多様な主体が参加できるプラットフォームへと発展させることで、支援の持続可能性を高めます。
  3. 「伴走」の再定義
    初回の支援をきっかけに生まれたつながりを一過性で終わらせないため、行政や地域団体との協働を深めます。お寺を起点とした地域のハブ機能を強化し、継続的な見守りと伴走支援(困りごとを抱える人に寄り添い、一緒に解決策を探す支援)の実現を目指します。

まとめ

認定NPO法人おてらおやつクラブの調査は、迅速な支援が単なる物資提供以上の心理的な安心感をもたらすこと、そして現行の公的支援制度が抱える課題、特に「制度の狭間」にいる人々の存在を浮き彫りにしました。

国民健康保険料や各種手当の算定基準が所得に連動するため、わずかな所得増が思わぬ負担増につながることもあります。このような状況に対し、おてらおやつクラブのような民間の支援団体が果たす役割は非常に大きいと言えるでしょう。

制度と民間の支援が連携し、本当に困っている人に必要な支援が届く社会を目指すことが、今後ますます重要になっていきます。

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