はじめに
国民健康保険とは？シングルマザーにとっての大切な制度
国民健康保険（国保）は、市区町村が運営する医療保険制度です。会社員や公務員の社会保険に加入していない人が対象で、パートや自営業、一時的な仕事をしているシングルマザーの多くが国保に加入しています。
日本は「国民皆保険制度」を採用しており、すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する義務があります。これにより、病気やケガをしたときに高額な医療費の負担を大幅に軽減できるのが大きなメリットです。
国民健康保険と社会保険の違いを徹底比較
「国保と社会保険、どっちがいいの？」と悩む方も多いですよね。ここでは、シングルマザーが特に気になるポイントを中心に、両者の違いをわかりやすくまとめました。
比較表：国民健康保険と社会保険の違い
| 項目 | 国民健康保険 | 社会保険（健康保険） |
|---|---|---|
| 運営主体 | 市区町村 | 協会けんぽ・健康保険組合 |
| 加入対象 | 自営業・パート・無職など | 会社員・公務員・一定条件のパート |
| 扶養の概念 | なし（家族全員が個別に加入） | あり（扶養家族は保険料増えず加入可） |
| 保険料の計算方法 | 所得割・均等割・平等割（世帯人数や所得で決定） | 標準報酬月額で決定（会社と折半） |
| 会社負担 | なし（全額自己負担） | あり（会社が半分負担） |
| 給付内容 | 医療費補助、高額療養費、出産育児一時金 | 医療費補助、高額療養費、出産育児一時金、 出産手当金・傷病手当金あり |
| 切替時の注意点 | 退職後14日以内に手続き必要 | 退職後は任意継続も選択可（最長2年） |
具体例でわかる！保険料と給付の違い
- 国民健康保険：年収200万円・母＋子2人の場合
所得割・均等割・平等割の合計で年間約18万円～25万円（自治体による）。
子どもも1人ずつ保険料がかかる。 - 社会保険：月収16万円（標準報酬月額16万円）・母＋子2人の場合
健康保険料は約1万円／月（会社と折半）。
子どもは扶養に入るので追加保険料なし。
社会保険は会社が半分負担してくれるため、同じ収入でも保険料が安くなることが多いです。また、出産や病気で働けなくなった場合の「出産手当金」「傷病手当金」など、手厚い給付も魅力です。
シングルマザーがどちらを選ぶべき？家族構成・収入別シミュレーション
- パートで月収8万円・子ども2人：
社会保険の加入条件（週20時間以上・月収8.8万円以上）を満たさない場合は国保一択。保険料は世帯人数分かかるので、減免制度の活用を。 - パートで月収12万円・子ども1人：
勤務先が従業員51人以上（2024年10月～）なら社会保険加入の可能性あり。保険料は会社と折半、子どもは扶養に入るのでお得。 - 自営業・年収300万円・子ども2人：
国保加入。所得割が大きくなるので、控除や減免をしっかり申請。社会保険は選択不可。
切替時の注意点・任意継続との比較
- 退職した場合：14日以内に国保への切替手続きが必要。手続きが遅れると無保険期間が発生し、医療費全額自己負担になるので注意。
- 任意継続：社会保険を退職後も最長2年間継続できる制度。保険料は全額自己負担だが、国保より安い場合も。比較して選択を。
国民健康保険の保険料の計算方法と最新事情
国保の保険料は市区町村ごとに異なりますが、主に以下の3つの要素で計算されます。
- 所得割：前年の所得から33万円を引いた額に7.5%～9%程度の率をかけたもの
- 均等割：被保険者1人あたり約5万円（市区町村による）
- 平等割：世帯ごとに約3万円（市区町村による）
2025年現在、年間保険料の上限は106万円です。
介護分保険料について
40歳から64歳までの方は介護分の保険料も支払います。こちらも所得割・均等割・平等割で計算され、上限は16万円です。65歳以上の方は別の介護保険制度が適用されます。
国民健康保険の申請方法と手続きのポイント
国保の加入や変更手続きは、お住まいの市区町村役場の国民健康保険課で行います。転職や退職、引っ越しがあった場合は14日以内に届け出が必要です。
- 必要書類：本人確認書類、マイナンバー、所得証明書、印鑑など
- 申請場所：市区町村役場の国保担当窓口
- 申請方法：窓口、郵送、オンライン（自治体による）
申請後、保険証が発行されます。保険証は医療機関で提示することで、医療費の自己負担が軽減されます。
医療を受けるときのポイント
国保に加入していれば、病院やクリニックで保険証を提示するだけで、医療費の自己負担は原則3割です。子どもや低所得者は負担割合が軽減される場合もあります。
また、医療費が高額になった場合は「高額療養費制度」を利用して、自己負担額の上限を超えた分が払い戻されることもあります。申請は市区町村役場で行いますので、覚えておくと安心です。
国民健康保険料を節約するためのコツ
シングルマザーにとって保険料は家計の大きな負担ですよね。ここでは節約のポイントを紹介します。
- 所得控除を活用する：医療費控除や扶養控除、配偶者控除など、所得から差し引ける控除をしっかり申告しましょう。
- 減免制度を利用する：市区町村によっては、低所得者向けに保険料の減免制度があります。申請条件を確認して活用しましょう。
- 保険料の分割払い：一括で払えない場合は分割払いも可能です。役場に相談してみてください。
- 社会保険への切り替え検討：勤務先の条件が変わり社会保険に加入できる場合は、保険料や給付内容を比較して切り替えを検討しましょう。
よくある質問Q&A
- Q. 子どもが18歳を超えたら保険料はどうなる？
- A. 18歳を超えても学生の場合は扶養控除の対象ですが、国保では人数分の均等割がかかります。社会保険なら扶養に入れます。
- Q. 収入が急に減った場合は？
- A. 収入減少を証明できれば、保険料の減免や分割払いが可能な場合があります。早めに役場へ相談しましょう。
- Q. 医療費が高額になったときは？
- A. 高額療養費制度を利用すれば、自己負担額の上限を超えた分が後から払い戻されます。
まとめ：シングルマザーのあなたへ
国民健康保険は、私たちシングルマザーの生活を支える大切な制度です。制度の仕組みや保険料の計算方法を理解し、手続きや節約術を知ることで、安心して医療を受けられます。
もしわからないことがあれば、市区町村の国保担当窓口や福祉事務所に相談するのが一番。私も医療事務の仕事を通じて、皆さんが少しでも負担を減らせるよう情報発信を続けていきますね。
これからも一緒に子育てと生活を頑張りましょう！
（著者：シングルマザー木村）
